相談・解決事例集

事例1 遺言によって、相続手続きが円滑にすすんだ事例

被相続人である姉が亡くなったが、相続関係は広まっており、戸籍を調べると15人の相続人がいることがわかった。ほとんどの相続人が疎遠になっており、中には中国籍の相続人も含まれており、相続財産もいくらかあったため、相続手続きが困難になることが予想された。

姉の生前、遺言について話をしていなかったが、司法書士が相続手続きについて依頼をいただいてから、念のため公証役場にて公正証書遺言の有無を調べると、被相続人の姉が作成した公正証書遺言が見つかり、内容としては、依頼者に全て相続させるという内容のものであった。

相続財産は不動産のほかにも株式や、銀行預金など多数にわたったため、司法書士が遺言執行者となり、相続手続きの代行をおこなった。

もし遺言が作成されていなかったら、相続人全員に連絡をとり、相続手続きに協力してもらう必要があったため、期間・費用も相当かかったことが予想され、場合によっては解決が困難だったかもしれない。

改めて、遺言の大切さがわかる出来事となった。

事例2 遺言がないために、調停にもつれこんだ事例

妻が亡くなったという夫から不動産の相続手続きについて、依頼を受けた。戸籍を調べてみると、相続人は夫と妻の妹であることが分かった。
依頼者より話を聞くと、妹とは以前連絡を取っていたが、妻の財産を巡ってもめたことがあり、最近はあまり連絡をとっていないということだった。ただ、相続手続きには妹の協力が必須であるため、依頼者に妹に連絡をとってもらったが、いい返事がもらえず、手続きがなかなか思うように進まなくなった。

依頼者と相談の上、家庭裁判所に遺産分割調停の申立を行うこととなった。遺産分割調停とは、裁判所を挟むものの、裁判とは異なり、調停委員という有識専門家に間に入ってもらい、当事者の解決を促す手続きである。

調停では、不動産の評価の方法、生前のお互いの不満などがあらわになったが、3回目の調停で、妹に金銭を支払うかわりに不動産の名義を夫にかえるということで決着がついた。支払う金額としては、相続財産全体に対する法定相続分相当額として適当な額であったが、もしも遺言があれば、当事者の負担なく手続きを進められるのにと感じた事例であった。 

事例3 韓国籍の被相続人の相続

母が亡くなったという依頼者から、不動産の相続に関するご相談を受けた。母親は、亡くなる際、日本国籍であったが、戸籍を調査していると、もともと韓国籍で、成人後に日本国籍に帰化したことが判明した。

この場合、生まれてから帰化するまでの韓国籍にいた際の韓国における戸籍、帰化してから亡くなるまでの日本における戸籍が必要となる。日本における戸籍や外国人閉鎖登録原票などはすぐに収集できたが、韓国における戸籍については、当該処理を専門に行っている業者に依頼し、収集及び戸籍の翻訳をお願いすることとなった。
その後も滞りなく書類収集が完了し、まもなく相続登記も法務局に受理され、無事名義変更が完了した。

専門家同士の連携により、特殊な事例にもすばやく対応することができた。

事例4 相続放棄で固定資産税の支払いを免れた事例

当事務所のHPをみて、相続放棄をご依頼頂いた事例。

依頼者に話を聞くと、昔、家庭の事情で父とは疎遠となっていたが、先日急に遠方の市税事務所から、父が亡くなったので父の固定資産税に関する税金を支払ってほしいという通知が届いたとのことだった。

依頼者としては父ではあるものの、もう何年もあっていなくて、亡くなっていることも知らなかったくらいなので、当該相続には関与したくないとのことで相続放棄を希望した。

戸籍を調べていると5年前には父に相続が発生していたようだ。

遠方の家庭裁判所であったため、郵送により、相続放棄の申述申立を行い、また父が亡くなってから期間も経っていたことから、念のため事情を説明した上申書を合わせて添付した。

ほどなく申述から1か月ほどで相続放棄が受理され、通知書が依頼者の手元に届いた。
当該通知書を市税事務所にしめしたところ、以降の請求がくることはなかった。